萱葺き薬医門の修復

昨年つくば建築研究会で調査した古民家の中に、
萱葺きの薬医門の老朽化に頭を悩ませているお宅がありました。
当研究会の調査訪問がきかけになったかどうかは分かりませんが、
最終的には修復のご決断をされ、この度めでたく着工の運びとなりました。

設計監理は古民家再生の仕事を多く手がけておられる、
里山建築研究所 さんです。
里山建築研究所さんは、萱葺きの文化・技術の継承・振興をはかる
一般社団法人日本茅葺き文化協会 の運営にも深く携わっておられます。

現実的には、修復には費用がかかることでもあり、
家主の方も色々悩まれたのではないかと思いますが、
このたびめでたく修復される運びとなりました。
9月半ばから始まった修復工事もここにきて大詰めに差し掛かり、
ついに今月初めから屋根の萱葺き工事に入りっています。

私も萱葺きの現場を見るのは生まれて初めてのことなので、
里山建築研究所のご担当者の方に事前に撮影タイミングを確認し、
10月7日に午後から半休をとって撮影に臨みましたが、
ビデオカメラの調子が悪く、いじり回している内に遅くなり、
現場に到着して数分後にはビニールシートがかぶせられ・・・
何も撮れませんでした。。

前置きが長くなってしまいましたが、そのような理由もあり、
10月11日の秋晴れのもと、荒壁塗りワークショップにプチ参加した後、
今日こそはと意気込んで萱葺き工事の撮影に臨んだのでした。

きれいに切り揃えられた萱葺き屋根を見るたびに、
職人さんがどのような仕事をされるのかとても興味がありましたが、
その決定的瞬間をつぶさに見ることができました。
大きな専用のハサミを使って、まさに散髪のように、
ジョキジョキと切り揃えてゆきます。
足場との関係で作業場が狭いところでは、
ハサミの扱いが大変そうでした。
それほど大きなハサミでした。

お家の方に「今日は良いのが撮れましたか?」と心配されましたが、
この日は胸を張って「バッチリです!」と応えられました。
作業は2人のベテラン職人(棟梁)さんが
2人の若者を教育しながらという感じでしたが、
棟梁が「どこの屋根を葺き替えたか忘れちゃなんめぇ」
と若者をたしなめていたのが印象的でした。
おそらく、いつどこの屋根を葺き替えたのか、
棟梁はそのひとつひとつをつぶさに思い出せるのでしょう。

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